虫歯治療

虫歯の原因とは?

虫歯はお口の中の常在菌であるミュータンス菌などによって起こります。もう少し細かく言うと、繁殖したミュータンス菌が食べ物などの糖分を分解して作り出す酸によって、歯が少しずつ溶かされていくのが虫歯のメカニズムです。
最初は歯の表面のエナメル質が溶かされていきますが、次第に内側の象牙質にも侵食し、歯の奥にある神経にも到達します。この状態になると激しい痛みを伴いますし、歯を失うリスクも高まります。虫歯は自然治癒することはないので、できるだけ早い段階で適切な治療を受けましょう。

虫歯になるリスクを知る

虫歯予防をする上で、個人の虫歯のリスクをよく把握することが大切です。
虫歯のリスクは、「S.M菌、L.B菌の数」「唾液の分泌量」「酸性→中性に戻る反応速度」
以上の3つによって決定されます。

細菌バイオフィルム

お口の中を適切にケアしていないとバイオフィルムが増えていき、ミュータンス菌が除去されない状態が続くことから虫歯にかかるリスクが高まります。

Bio Film(バイオフィルム):厄介な感染症の原因

唾液や体液はミュータンス菌などの細菌を抑制する作用を持っています。しかし細菌は自らが生み出す多糖体という物体に包まれることで集合体を形成して、唾液などで除去されなくなる性質も持っています。この集合体がバイオフィルムと呼ばれるものです。

唾液の分泌量・質

唾液

  • 唾液は食べ物のカスや細菌を洗い流す機能を持ち、抗菌作用もあることから細菌の増殖を抑える役割を持っています。

緩衝 / 免疫作用

  • 唾液は酸性化した口腔内を中性に戻そうとする作用と、細菌を防御する機能を持っています。

再石灰化 / 保護作用

  • 唾液は歯の表面の再石灰化を促し、保護する作用も持っています。

唾液の分泌量が少ないほど、虫歯のリスクは高くなります。

酸性→中性に戻る反応速度

飲食を行うと、お口の中は細菌が持つ作用によって20分程度で酸性化が進み、臨界Phと呼ばれる数値付近に来ると歯が溶け始めます。この作用を脱灰と呼びます。食事が終われば酸性化した環境も唾液の働きによって中性に戻っていきます。

食後の適切な反応速度

飲食を始めるとお口の中は酸性に傾きます。酸性の度合いを示すPhという値が5.5~5.7の状態を臨界Phと呼び、この付近で歯の表面のエナメル質が溶け始めます。臨界Phは固定の値ではなく個人差があります。

間食が多くなると

間食が多いとお口の中が中性に戻る時間が短くなり、酸性でいる時間が長いことから虫歯発症のリスクが上がります。また、食事時間が長いことも酸性化した状態が続くことになるので、ダラダラ食べ続けることは避けましょう。

人によって酸性→中性に戻る反応速度は異なります。反応速度が長い場合、脱灰時間も長くなり、虫歯のリスクは高くなります。

虫歯の進行と治療方法

虫歯は放置していても治ることはなく、放置するほど悪化して歯を失う可能性が上がります。
早期に治療するほど歯のダメージも小さく、治療費や治療にかかる時間も少なくできるため、早めに歯科医院を利用しましょう。

  • エナメル質の虫歯
    C1

    歯の表面にあるエナメル質が溶け始めた状態です、この時は痛みが無いので気づきにくいですが、ここで治療をすればレジン充填で済ますことができます。

  • 象牙質に達した虫歯
    C2

    エナメル質より内側の象牙質に達しています。削る量が小さければレジン充填で済みますが、大きければセラミックや金属で作った詰め物が必要となります。

    審美治療

  • 歯髄(神経)に達した歯
    C3

    虫歯が神経に達しています。炎症が激しければ神経を抜いて根管治療を行います。感染を除去した後はシーリング充填や被せ物による保護を行います。

    根管治療

  • 歯質が失われた虫歯
    C4

    歯の大部分が溶かされた状態です。被せ物でカバーできる場合や、抜歯に至る場合もあります。抜歯後は入れ歯、ブリッジ、インプラントなどで補います。

    インプラント

歯を削りすぎない虫歯治療

当院は患者さんの大切な天然歯をできるだけ残すために、虫歯の除去をしっかり行いつつも削る量を最小限に抑える取り組みも行っています。そのために肉眼の5倍の大きさで患部を見ることができる拡大鏡を利用して、精度が高い治療に取り組んでいます。

設備紹介

痛みに対する配慮

当院は治療の痛みをなるべく感じさせないために、麻酔の方法に工夫を凝らしています。まず表面麻酔を塗って針を刺す痛みを感じにくくします。その後、非常に細い注射針を使って麻酔を行うことで、痛みを大きく緩和することができます。

歯を守るための予防

虫歯は正しい知識を持つこと、定期的に歯科医院でケアを受けること、歯科医院のアドバイスに沿ってセルフケアを行うことなどで予防できます。虫歯になると痛い思いをするばかりでなく、通院にかかる時間や費用を多く使うことになります。予防を行う最大のメリットは、悪くなってから通うよりも事前の通院でトラブルを回避できることです。

ブラッシングのポイント

  • POINT 01う蝕のできやすい所を把握する

    唾液腺の位置と、う蝕の関係

    • 青・・・耳下腺および顎下腺、舌下腺の開口部付近
    • 黄・・・唾液の届きにくいリスク部位

    青および黄色で示した部位は虫歯になりやすいため、丁寧なブラッシングが必要です。

  • POINT 02フッ素を正しく使う

    世界中の専門家の見解~う蝕予防~

    • ブラッシング(器械的なものも含め)→ 重要である・・・39%
    • フッ化物配合歯磨剤 → 重要である・・・96%

    フッ化物にはプラーク抑制効果もありますので、家庭でのセルフケア、歯科医院でのプロフェッショナルケア両方でフッ素を取り入れ、正しく使用する事が虫歯予防につながります。

  • POINT 03キシリトールの摂取

    日本のう蝕予防に欠如していたこと

    • 唾液由来の感染症であることの知名度が低い(生後19~31ヶ月で決まる)
    • フッ化物の利用
    • 代用糖(キシリトール)の利用

    国内では97’よりキシリトールの摂取を習慣化するよう推奨しています。